税金・保険

フリーランスに必要な住民税の知識について【節税できる?納付方法は?確定申告は!? 】

フリーランスのみなさんは住民税や所得税について、どれくらい理解していますか?

「自分がどれくらい稼いだらいくら住民税を支払うのかわからない」
「住民税って確定申告しなければならないの? 」
「ちゃんと住民税の支払いができているのか不安」
「うっかり住民税を滞納してしまったときのペナルティが怖い」
「ふるさと納税ってどれだけ節税効果がある? 」

そう感じたことはないでしょうか?

この記事ではフリーランスにとって身近な税金のひとつである『住民税』についてくわしく解説していきます。

あいまいだった税金の知識が整理されて、節税への理解が深まるようにわかりやすく解説していきますね。

住民税とは?

住民税とは、自治体(都道府県や市区町村)から教育・福祉・医療・環境保全などの公的サービスを受けるために納める地方税のことです。

地方自治体が公的サービスの維持や管理をするうえで必要となる費用を、住民がその能力に応じて分担しあう目的で納める税金です。

その地域に住むすべての人に課せられる税金であり、道府県民税(東京都は都民税)と市区町村税の2つをあわせたものが住民税です。

住民税はどこに払えばいい?

住民税は、その年の1月1日時点の住所地で課税されます。1月1日以降に県外に転居した場合でも同様です。

特別徴収と普通徴収

住民税の納付方法には大きく分けて『特別徴収』と『普通徴収』の2種類があります。

特別徴収

特別徴収は、会社が従業員の毎月の給与から天引きする形で住民税を徴収する方法です。

差し引かれた住民税は会社が従業員に代わって各市区町村へ納付します。

給与から自動で天引きされるため「税金をこんなにたくさん支払っている!」という痛税感は少ないです。

フリーランスになって税金の知識に戸惑う人が多いのは、会社員時代に自分で納税をしていないことが理由のひとつと考えられます。

普通徴収

普通徴収は、納税通知書を利用して以下に該当する住民が納付する方法です。

  1. フリーランス
  2. 個人事業主
  3. 退職して次の就職先が決まっていない人
  4. 特別徴収から普通徴収への切り替えが認められた人

住民税はどのように支払う?

住民税は前年1月1日から12月31日の所得に対して課税されます。

毎年2月16日から3月15日の間に行われる確定申告によって所得が申告されると、それをもとに6月くらいに住民税の通知書が届きます。

普通徴収の場合、住民税は申告から納付までに期間があるため忘れやすいので注意が必要です。

いろいろな支払方法

納税通知書を用いて納付する普通徴収の支払方法には、いくつか種類があるのでご紹介します。

 

  • 金融機関の窓口
  • コンビニエンスストア
  • 口座振替
  • クレジットカード(自治体による)
  • キャッシュレス決済(自治体による)

住んでいる市区町村が住民税のクレジットカード払いに対応していれば、税金を納付してポイントが貯められるのでお得です。

※その際、クレジットカード決済の手数料が発生する場合があります。

住民税はいつまでに納める?

特別徴収の場合は、給料から毎月天引きになるので期限を気にする必要はありません。

天引きした住民税は翌月10日までに会社によって納められます。

普通徴収の場合は納税通知書に一括用と4期分割用の払込用紙が同封されているので、どちらかを選んで納付しましょう。

一括

納付期限は6月末まで。一年分の住民税を一括で支払うため、負担が大きく痛税感も高いです。

分割

一括での納付が厳しい場合は4回(4期)に分けて納付が可能。

期限は6月末、8月末、10月末、翌年1月末です。

普通徴収 特別徴収
主な対象者 フリーランス
個人事業主など
会社員など
徴収方法 自分で納付する 給与から天引き
納付回数 4回(6月,8月,10月,翌1月) 12回(毎月)
納付期限 一括:6月末 分割:月末 天引きした翌月の10日
メリット クレジットカード払いでポイントがためられる場合もある ・痛税感が低い
・会社が納付してくれる
デメリット ・痛税感が高い
・払い忘れや滞納のリスク
税金の知識に疎くなる

 

住民税を滞納したときのペナルティとは?

特別徴収は給料から天引きなので払い忘れや滞納の心配はありません。

しかし、普通徴収は自分で納めなければならないため、うっかり払い忘れたり滞納する恐れがあります。

納付期限を過ぎて20日経つと督促状が送られてきますから、すぐに対応してください。

もし住民税を滞納してしまった場合はどうなるのでしょうか? 実はかなり深刻なペナルティを課される可能性があるのです。

以下の3つがその代表的なペナルティです。

延滞税がかかる

住民税の納付期限を一日でも過ぎると、その日から延滞税がかかります。

受けられる行政サービスの制限

住民税はそもそも行政サービスの維持・管理を目的に徴収されるため、

  • 各種助成金・補助金を受けられない
  • 教育・福祉・介護などのサービスの利用停止
  • 公共賃貸住宅への入居不可や明け渡し

などの制限が滞納者にかかります。住民税の滞納には非常に注意が必要です。

財産を差し押さえられる

最悪の場合は『税負担の公平性を保つため』という名目で、所有する財産を差し押さえられる可能性があります。

差し押さえられる可能性のある財産とは、預貯金、給与、建物(住居)、土地などです。

住民税滞納のペナルティを受けないために

どうしても住民税を払えない状況になりそうなときは、市町村役場の税務課に必ず相談しましょう。

よほど悪質な滞納ではない限り、払える範囲で細かく分割にしてもらえるなどの対応をしてもらえます。

住民税にも確定申告が必要?

原則として、住民税の申告は必要ありません。

確定申告をした情報は税務署から市区町村に共有され、それをもとに市区町村は住民税の計算をするためです。

住民税の申告が不要な人とは

以下にあてはまる人は住民税の申告が必要ありません。

  • 前年の所得がまったくなかった人(所得がゼロならば税金もかからないため)
  • 前年の所得が給与所得だけの人(会社が住民税の手続きをしてくれるため)
  • 所得税の確定申告をした人(確定申告の結果は税務署から自治体に共有されるため)

上記以外の場合は、住民税の申告が必要なケースがありますので、市区町村役場の税務課に問い合わせてみましょう。

住民税の控除額一覧表

所得税と住民税は控除額が違うため、所得税はかからなかったけれど住民税は発生する、ということがあります。

自分に該当する控除がないかを前もって確認しておきましょう。

控除の名称 適用される条件 控除額
雑損控除 火事や盗難など、家財や資産に被害があった ①損失額(保険金による補填額除く)-総所得金額×10%

②災害関連支出-5万円

医療費控除 ・一年間の医療費が10万円超

・所得200万円未満の場合にかかった医療費が総所得の5%超のとき

一年間の医療費で10万円または所得200万円未満の場合にかかった医療費が総所得の5%を超えた分
 

社会保険料控除

国民健康保険料・国民年金・介護保険料など、その年に支払った社会保険料の全額が対象 年中に支払った額
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済・個人型確定拠出年金(iDeCo)などを支払ったとき 年中に支払った額
生命保険料控除 新(旧)の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料などを支払ったとき 限度額は合わせて7万円
地震保険料控除 地震保険料を支払ったとき 限度額は最高2万5,000円
寡婦(夫)控除 配偶者と死別・離別しているとき 本人が寡婦(夫)は26万円

特定の寡婦は30万円

勤労学生控除 働きながら学ぶ特定の学生 26万円
障害者控除 本人・家族が該当するとき 26万円

特別障害者は30万円

同居特別障害者は53万円

配偶者控除 控除対象の配偶者がいるとき 最高で33万円

70歳以上の配偶者は38万円

配偶者特別控除 納税者:合計所得金額1000万円以下

配偶者:合計所得金額38万以上123万以下の控除対象配偶者

最高で33万円
扶養控除 配偶者以外の対象扶養親族がいるとき

①一般の扶養家族(16歳以上19歳未満・23歳以上70歳未満)

②特定扶養家族(19歳以上23歳未満)

③老人扶養家族(70歳以上)

④③のうち同居老親等

①33万円

②45万円

③38万円

④45万円

基礎控除 誰でも一律に受けられる(合計所得金額2,400万円まで)  33万円

※上記は令和3年度(令和2年分所得)以降の控除額です。

住民税の計算方法

住民税には『所得割』と『均等割』があり、その2つの合計が納付すべき住民税になります。

所得割について

①所得割=(所得額ー所得控除額)×税率ー税額控除

所得割は、前年1月1日から12月31日の所得額をもとに計算されます。

所得割の税率は市町村民税が6%、都道府県民税が4%です。所得控除や税額控除の種類は基本的に所得税と同じです。

均等割について

②均等割=市区町村税+都道府県民税

均等割は所得額に関係なく、その自治体に住むすべての人に均等に課税されます。

基本的に市区町村税が3,500円、都道府県民税が1,500円です。しかし、住んでいる場所によっては均等割の額は変わる場合があります。

例えば、愛知県のように県内の森林保護や緑化推進を目的とした『あいち緑づくり税』を県民税に500円上乗せして徴収する自治体もあります。くわしくは各自治体のHPで確認してください。

③住民税額=①所得割+②均等割

所得割と均等割の合計が納めるべき住民税の金額です。

住民税が安くなる? 『ふるさと納税』のメリットとは

豪華な返礼品がメディアでたびたび話題になる『ふるさと納税』。

住民税も安くなるらしいし、節税もかねてやってみようかな…という人もいます。しかし、実際のところ本当に節税効果があるのでしょうか?

ふるさと納税のメリット

自分で選んだ自治体に寄付をして、その金額から2,000円を差し引いた金額が翌年の住民税から控除される『寄付金控除』という制度です。

ふるさと納税のメリットは以下になります。

  • 豪華な返礼品がもらえる
  • 好きな自治体に寄付をして応援できる
  • 税金が安くなる

毎年納税しているフリーランスにはおすすめ

『必ず税金が返ってくる=節税』と思われがちですが、ふるさと納税は『納税』ではなく『控除』です。

そもそも税金を払っていない人(専業主婦・子ども・給与所得103万円以下の人)には、返ってくる税金はありません。

ふるさと納税をするには確定申告が必要です。(ワンストップ特例制度は除く)毎年必ず申告、納税をするフリーランスならば、ふるさと納税のメリットが十分にあるといえます。

まとめ フリーランスに必要な住民税の知識について【節税できる?納付方法は?確定申告は!? 】

住民税について、滞納した時のペナルティやふるさと納税のメリットなど、フリーランスが覚えておくべきことを中心にご説明させていただきました。

税法は毎年改正があるため、記事の内容は今後変更になる可能性があります。

必ず最新の情報を確認する習慣をつけることも、税金を知る上では大切です。

参考:東京都主税局

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このサイトを運営しているフリスタです。 フリーランスになった10年目の現役フリーランスです。 東京都内でフリーランスをしつつ、2つのメディアを運営しています。
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