会計業務を楽にする方法といえば、会計ソフト。
フリーランス用の会計ソフトは、法人用と比べ安価で比較的簡単に扱えます。以前はパッケージ版を購入して、パソコンにインストールして使うタイプしかありませんでしたが、今ではネット上で動作するクラウド型のものが続々登場しています。
たくさんの会計ソフトがあって、フリーランスはどれを選んだらいいのか悩みますね。そこで今回は、会計ソフトの種類、導入するメリットやおすすめの会計ソフトについて解説していきます。
会計ソフトは大きく2種類
会計ソフトは、PCインストール型とネットのクラウド型の大きく2種類に分けられます。従来はインストール型が主流でしたが、最近ではクラウド型を利用する人が増えてきました。
インストール型会計ソフトとクラウド型会計ソフトの違い
インストール型はパッケージを購入し、PCにインストールして使用します。そしてクラウド型は、ネット上でログインして利用します。
そのため、インストール型はインストールしたパソコンでしか使えませんが、クラウド型はスマホやタブレット端末からでもアクセスして利用できることが強みです。そして、インストール型はMacに対応していないものも多いため、パソコンを選ばないクラウド型が利便性の面からも人気が出てきています。
【インストール型会計ソフトとクラウド型会計ソフトの利用率】
【参考】
株式会社MM総研によるアンケート調査
https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=299
※n=データの個数.調査期間:2018年3月16日~29日
こちらは個人事業主を対象とするWebアンケート調査です。今はまだPCインストール型会計ソフトのほうが利用率は高いですが、クラウド会計ソフト利用者は2017年12月の調査では13.5%であり、1.2ポイント拡大しています。
PCインストール型会計ソフトのメリットとデメリット
①オフラインで使えるため、回線やネット環境の影響を受けない
②クラウド型会計ソフトに比べて多機能である
③ 電話サポートが充実している
①オフラインで使えるため、回線やネット環境の影響を受けない
インストール型はPCにソフトをインストールして使うため、オフラインで利用できます。そのため会計処理がPC内で完結するので、会計データをネットで外部に保存する必要がありません。そしてウイルス感染やハッキングなどのリスクもなく安心して作業できます。
ネット環境による影響を受けないので、操作が重くなることもなく、サクサク動作するのでストレスがたまりません。
②クラウド型会計ソフトに比べて多機能である
インストール型は歴史が長いため、さまざまな要望に対応されてきており多機能になっています。自分でカスタマイズして複雑な処理も可能になります。
③ 電話サポートが充実している
何かあったときに気軽に電話で相談できるサポートは、初心者には心強いサービスです。
定期的なバックアップが必要
インストール型はPCに依存するため、PCの故障などに備えて定期的なバックアップが必要になります。
アップデートやバージョンアップがあったとき自分で対応版のインストールが必要です。別途費用がかかる可能性があり、場合によっては買い替えが必要になることもあります。
クラウド型会計ソフトのメリットとデメリット
クラウド型会計ソフトは、インストール型会計ソフトの後で開発されたこともあり、インストール型の欠点を広くカバーしています。
①インターネット環境があればさまざまな端末で利用できる
②バージョンアップに素早く対応している
③ 銀行口座やクレジットカードと同期できる
④操作が簡単
⑤保存したデータが消える心配がない
①インターネット環境があればさまざまな端末で利用できる
インターネット環境があれば、どこからでもログインして帳簿付けができます。フリーランスには欠かせないレシートや領収書も、出先でスマホやタブレット端末で処理ができるので、簡単に場所を選ばずに会計管理ができます。
②バージョンアップに素早く対応している
毎年のように税金関係の法令改正が行われます。それに伴いソフトもバージョンアップしていく必要があります。クラウド型は自動で法令改正に合わせて即座に対応してくれるので間違えて処理をすることはありません。常に最新版を使えるので安心です。
③ 銀行口座やクレジットカードと同期できる
金融機関との連携機能があることで、取引記録を自動で取り込み、自動で仕訳けして帳簿してくれます。
④操作が簡単
クラウド型会計ソフトは、会計知識がない人向けを前提に開発されている傾向があるため、手順に沿って作業していくだけというシンプルさで簡単に操作できます。
⑤保存したデータが消える心配がない
もしPCやスマホが故障してもデータやソフトは外部のサーバーに存在するため影響はありません。そのため定期的なバックアップの必要もありません。
インターネットが使えないと使用出来ない
クラウド型会計ソフトの大きなデメリットは、インターネットが使えない場合、ソフトも使えないというところです。インターネットのトラブルや定期的、緊急に行われるメンテナンスのときは利用できません。
会計ソフトの導入メリットとは?
会計ソフトを導入する一番のメリットは、フリーランスが確定申告をする際に強い味方になってくれることです。
フリーランスが一定の収入を得ると確定申告が必要になります。節税のためには控除がある青色申告を選ぶところですが、自分で一から申告書を作成するとなると多くの時間を奪われてしまいます。確定申告にかかる時間は何も生み出しません。邪魔でしかない作業に会計ソフトを利用することで、無駄な時間を削減しましょう。
クラウド会計ソフトについての誤解
クラウド会計に対して一部過大な期待や、機能面での誤解があるようです。
「会計ソフトを使えば確定申告が一人でできる。」
「クラウド会計ソフトは簡単で、会計知識は必要ない。」
これらは誤解であり、大きな間違いです。
確かに税理士ほどの会計の専門知識はいりませんが、ある程度の会計知識とインターネットスキルは必要になります。そして製品によっても必要な会計知識の程度は違ってきます。まずは無料トライアルを活用し、操作性など自分に最適な製品を選びましょう。
会計ソフトは「仕訳を完全に自動でしてくれる。」と信じている人も多いでしょう。しかし、実際には完全自動化にはできません。銀行やクレジット会社とは連携できますが、現金や手形など現実世界の取引は、インターネットと紐づけすることは不可能です。そういった場合は手入力が必要になってきます。
ネットバンキングやクレジットカードでの取引が多いフリーランスこそ、クラウド会計ソフトの導入で大幅に業務の効率化を狙っていくことができるのです。
三強クラウド会計ソフト比較
クラウド会計ソフトは複数ありますが、現在フリーランスには「freee」「MFクラウド確定申告」「やよいの確定申告オンライン」がほぼ三強となっています。それぞれの特徴を紹介します。
freee(フリー)
一番初心者に優しいのは、このfreeeです。最低限の会計知識があれば大丈夫でしょう。会計や簿記とは違ったfreee独特のシステムなので、会計の知識がある人には、馴染みにくく若干物足りなさを感じるかも知れません。
freeeの特徴としては、スマホアプリが充実していて、スマホで確定申告書類の作成ができるところです。そして確定申告書類の作成から提出までサポートしてくれ、自宅で確定申告を完了することができます。
導入も簡単で、クレジットカードや銀行口座をfreeeに連携させるのみです。手軽に会計ソフトを導入したい人におすすめです。機能やサービス面でも他の2つを圧倒していると言われています。そしてフリーランスの事業が大きくなっても対応できる拡張ソフトが多いのも安心です。
やよいの確定申告オンライン
やよいは老舗のソフトメーカーです。ですので、クラウド会計ソフトとしては後発であることが難点です。そのため他の2者よりまだまだ使い勝手が悪いようです。そしてデータ連携という機能でも劣ります。ただ老舗ということもあり、やよいシリーズを長く利用しているユーザーは、やよいのクラウドに移行する傾向があります。会計知識をどんどんつけていきたいフリーランスにはおすすめです。
やよいの青色申告オンラインはこれからまだまだ発展途上であるといえます。
MFクラウド確定申告
MFクラウドは、今までの会計ソフトをクラウド化したという印象です。そのため従来の会計ソフトが必要最低限のシンプルな構造になって、楽に扱えるようになりました。そのため、ある程度簿記や会計の知識がある人には断然使いやすいでしょう。そして簿記の勉強も一緒にしたいという人にはおすすめです。
フリーランスがクラウド会計ソフトを選ぶ条件
クラウド会計ソフトを選ぶときに重視する点は、
1位「簡単である」
2位「データの保全性」
3位「動作が早い・安定性」
4位が「価格が安い」
となっています。
今回は3つのクラウド会計ソフトを紹介しましたが、他にも複数の会計ソフトは存在します。もしかしたら、その中に自分に合うソフトがあるかも知れません。しかし利用者が少ないソフトを使ってしまうと、そのうちサービス終了ということになる可能性もあります。反対にシェアの多い会計ソフトは長く利用でき、サービスも充実していくでしょう。やはり紹介した3つの中から選んだほうが無難であるといえます。
現状、クラウド会計ソフトは3者が近づいてきている印象で、利用できる機能は大きな違いはなくなってきています。
シェア数
【参考】株式会社MM総研 https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=299
・個人事業主を対象にWebアンケート調査
・調査期間:2018年3月16日~29日
※対象ソフト
・弥生…「やよいの青色申告 オンライン」、「やよいの白色申告 オンライン」
・freee…「クラウド会計ソフト freee」
・マネーフォワード…「MFクラウド確定申告」
・全国商工会連合会…「ネットde記帳」
使いやすさ
使いやすさは使用する目的とシーンにもよりますが、ここでは単純に会計の知識のない初心者のフリーランスが簡単に使えるかどうかで考えます。
freeeが画面がシンプルで簡略化されていて一番使いやすいです。質問に答えながら空欄を埋めていくうちに書類が出来上がっていくという感じです。なので、会計や簿記の資格をすでに持つ人にとっては少し馴染みにくい会計ソフトかも知れません。
「やよいの青色申告 オンライン」と「MFクラウド確定申告」は少し上級者向けとなります。
料金とサポート
クラウド会計ソフトのデメリットとなるのは毎月必ず費用がかかること。入会金や登録料などの初期費用はかかりませんが、使用期間に応じて月定額または年定額の課金が必要です。
月々の費用は決して高額ではありませんが、使用期間はずっと利用料を払い続けなければいけません。インストール型のようにパッケージ版を買ったら終わりというわけにはいきません。ですので、長い目でみると結構高額になってしまう場合もあります。
「freee」
プラン | 料金 | サポート |
スタータープラン | 980円(税抜)/月
9,800 円(税抜) / 年 |
チャット・メール |
※30日無料プランあり |
「やよいの青色申告 オンライン」
プラン | 料金 | サポート |
セルフプラン | 8,000円(税抜)/年 | なし |
ベーシックプラン | 12,000円(税抜)/年 | 電話・メール・チャット |
※最大2カ月間、一部の機能をお試し「無料体験版」あり ※すべての機能が初年度1年間(最大14か月)、無料で使えるキャンペーン実施中 |
MFクラウド確定申告
プラン | 料金 | サポート |
ベーシックプラン | 800円 (税抜)/月
8,800円 (税抜)/年 |
メール・チャット |
※30日間無料あり |
初心者にとって必須機能であるチャットやメールでのサポート対応でライトなプランを比べてみました。そこまで大きな差はないようですね。
まとめ
・今後はクラウド会計ソフトが主流になる
・まずは無料プランを試してクラウド会計ソフトの魅力を堪能しよう
・最初はシェアの多いソフトを使って、使い慣れたら自分に合うソフトに乗り換える
クラウド会計ソフトは、クラウド上で情報の管理をするからこそ実現できるメリットがたくさんあります。そして従来のインストール会計ソフトよりクラウド型の有用性が飛躍的に伸びてきています。今後の会計ソフトは、クラウド型のものが主流になるでしょう。
これから会計ソフトの導入を考えている方には、クラウド会計ソフトをおすすめします。