税金・保険

小規模企業共済とは?個人事業主・フリーランスは加入すべき?メリット・デメリットのまとめ

個人事業主やフリーランスの働き方で、このような心配をお持ちではないですか?

  • 退職金がないので老後が心配
  • 所得税の節税対策はしたいけど本当に得になる?

個人事業主やフリーランスは退職金がなく、国民年金だけでは老後に受け取れる金額が少ないため、老後のことを考えると不安な気持ちになりますよね。フリーランスが加入できる積立制度を検討している方も多いと思いますが、結果的に損にならないか事前に確認する必要があります。

この記事では、フリーランスのための積立制度のひとつ「小規模企業共済」のメリット・デメリット、加入方法、シミュレーション方法をご紹介します。

 

どんな人が小規模企業共済に加入できるの?

小規模企業共済は、フリーランスであれば以下の2つの条件を満たせば加入できます。

  • 開業届を出している個人事業主であること
  • サービス業を営んでいて従業員が5人以下の個人事業主か会社役員

*独立行政法人 中小企業基盤整備機構より

小規模企業共済とは?

小規模企業共済とは、ひと言で言うと「フリーランスのための退職金制度」です。独立したての人にはあまり知られていないかもしれませんが、老後のことを考えて貯金のように積み立てて税金まで安くなる、フリーランスにとって心強い制度なのです。

国の法律(小規模企業共済法)に基づいて作られた制度で、国が全額出資して独立行政法人中小機構が運営しています。令和2年3月末の時点で在籍人数は約147.5万人*と、多くの利用実績があります。
*独立行政法人 中小企業基盤整備機構より

小規模企業共済の特徴

小規模企業共済とは具体的にどのような制度なのでしょうか?制度の特徴をまとめてみました。

  • 掛金は1,000円から7万円まで、500円単位で自由設定できる
  • 加入後も減額・増額ができる
  • 月払い・半年払い・年払いの中から選べる
  • 契約者本人が亡くなると親族が共済金を受け取れる
  • いざというときに借入ができる

掛金の拠出、共済金の受け取り、さらには生活や事業に変化があったときに一般の金融機関よりも低い金利で借入ができるのが特徴です。掛金を1,000円から500円単位で細かく設定できるのも無理なく続けられる特徴のひとつですね。

受けとれる共済金の種類

小規模企業共済に加入することで受けとれる共済金の種類はケースによって異なります。フリーランスの場合はこちらの4つの種類に分けられます。

個人事業主の場合

共済金A 個人事業を廃業した場合、あるいは小規模企業共済の契約者が亡くなった場合
共済金B 65歳以上で180ヶ月以上掛金を払った場合(老齢給付)
準共済金 個人事業を法人化して加入資格がなくなり、解約した場合
解約手当金 任意解約した場合、12ヶ月以上滞納した場合、法人化の後も加入資格はあるが解約した場合

*独立行政法人 中小企業基盤整備機構より

小規模企業共済のメリットとデメリットは?

それでは、小規模共済に加入することで得られるメリットと、一方で注意しないと損になってしまうデメリットについて解説します。

小規模企業共済のメリット

小規模企業共済のメリットはこちらの3点が挙げられます。

1. 掛金全額を所得控除で節税できる

掛金が課税対象の所得から「小規模企業共済等掛金控除」として全額控除され節税になります。

2. 受取時にも節税できる

掛金を支払っても節税になりますが、共済金を受けとるときにも節税になります。分割で受け取ると公的年金と同様に「雑所得扱い」になり、一括で受けとると「退職所得扱い」になり、どちらの受け取り方であっても所得控除を受けられます。

3. 万が一のときに低金利で借入ができる

契約者を対象とした「貸付制度」を利用して掛金の範囲内で借入ができます。事業資金が必要になった場合の「一般貸付け」や、病気やケガ、災害で被害を受けた場合の「傷病災害時貸付け」、資金繰りが厳しくなった場合の「緊急経営安定貸付け」などの制度が用意されています。いずれも一般の金融機関よりも低金利で借入ができます。

小規模企業共済のデメリット

小規模企業共済のデメリットはこちらの3点です。

1. 掛金の支払いが負担になる

収入が安定しないうちは掛金の支払い自体が負担になります。事業が軌道に乗らず、1年に満たずにすぐ解約してしまうと、後述する「掛け捨て」となってしまいますので、加入のタイミングを見極める必要があります。

2. 任意解約すると損になる

納付期間が1年に満たずに任意解約をすると解約手当金を受け取れず「掛け捨て」になります。また、納付期間が40か月未満で任意解約すると、解約手当金は掛金総額を下回り損になります。

3. 掛金納付日数が少ないと「元本割れ」する

小規模企業共済は、納付月数に応じて掛金の80%から120%に相当する額を受け取れる仕組みですが、加入期間が20年未満の場合は「元本割れ」になります。小規模企業共済は、長く掛け続ければ続けるほど得になる制度です。掛金の増減は途中でも可能なので、長期的に積み立てる前提で加入を検討しましょう。

 

小規模企業共済にどうやって加入するの?

それでは、小規模企業共済への加入方法を具体的に解説します。

掛金は?

掛金は、1,000円から7万円までの範囲で500円単位で自由に選択できます。掛金の増減も手続きを行えばいつでも可能です。

加入方法は?

フリーランスが小規模共済に加入する際には、まず以下の書類を用意しましょう。

  • 確定申告書(または開業届)の控え
  • 契約申込書
  • 預金口座振替申出書

開業したばかりで「確定申告書の控え」がない場合は「開業届」の控えを代わりに用意します。また、「確定申告書」、「開業届」の控えには税務署の受付印が押されているものが必要です。電子申告(e-tax)で税務署の受付印がない場合は、「確定申告書」、「開業届」の控えとe-taxの受付確認である「メール詳細」も必要になりますので用意しておきましょう。

小規模共済加入の申し込み手続きは以下のいずれかの加入窓口にて行います。加入手続きはこれらの窓口のみで受付され、書類の郵送での申し込みはできません。

  • 中小機構の委託機関(商工会議所、青色申告会など)
  • 金融機関の窓口(都市銀行、信託銀行、地方銀行など)

小規模企業共済の申し込みができる金融機関は中小機構のホームページ内の代理店一覧にて最新の情報を確認できます。金融機関の支店によっては、小規模企業共済の業務を取り扱っていない場合がありますので、申し込みに行く前に事前に確認することをおすすめします。

申し込みをしてから約40日後に、中小機構から「小規模企業共済手帳」と「小規模企業共済制度加入者のしおり及び約款」が郵送されます。

納付方法は?

小規模企業共済の納付は月払い、半年払い、年払いから選べ、途中で変更することも可能です。

納付方法は個人の預金口座からの口座振替で、毎月18日(18日が休日の場合は翌営業日)に引き落とされます。

小規模企業共済の掛金は、契約者が以下の状況に陥ったときに一定期間(6ヵ月か12ヵ月間)納付を止められる「掛止め」という制度があります。

  • 所得がない場合
  • 災害に遭遇した場合
  • 入院中の場合

注意をしたいのは、「掛止め」している期間の掛金を後から納付できないことです。契約期間に影響を与えずに、掛金の金額負担を軽減したい場合は、掛金を減額する方法もあることを覚えておきましょう。

加入前にシュミレーションしてみよう

中小機構のサイトでは、小規模企業共済金に加入した場合のシミュレーションができます。「毎月の掛け金」、「掛ける年数」、「現在の所得」を入力すると、将来どのくらいの共済金が受け取れるか、またどれくらい節税効果があるかを試算してくれる仕組みです。加入の前の検討材料として、ぜひ以下のリンクから試してみてください。

中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)でシュミレーションする

まとめ 小規模企業共済とは?個人事業主・フリーランスは加入すべき?メリット・デメリットのまとめ

フリーランスの生活と老後の助けになる小規模企業共済について解説してきました。

掛金が1,000円から設定でき、さらに掛金の増減もできるので、無理なく続けられて節税対策にもなる制度であることをご理解いただけたかと思います。

フリーランスにとって心強い制度ではありますが、長期的な見通しがないまま加入をしてしまうと、せっかく掛金を納付しても結果的に「掛け捨て」となってしまうデメリットもあります。まずは収入を確保した上で加入を検討しましょう。

少額でも長くコツコツと積み立てていけば、老後に受け取れる金額が変わってきます。フリーランスの方はぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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このサイトを運営しているフリスタです。 フリーランスになった10年目の現役フリーランスです。 東京都内でフリーランスをしつつ、2つのメディアを運営しています。
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