サラリーマンであれば税金は自動的に給料から天引きされ、税金の計算も会社が年末調整してくれるため、税金を意識する必要はほぼなかったでしょう。
フリーランスは会社員とは違い、確定申告や税金の支払いまで、全てを自分自身で行う必要があります。税金と聞くと少し難しそうなイメージがあるかと思いますが、今回はフリーランスが知っておきたい税金の基礎知識をご紹介いたします。
会社員とフリーランスの税金の違い
会社員とフリーランスは税金の納め方に違いが
フリーランスと会社員は、税金の納め方に大きく違いがあります。会社員の場合には、給料から自動的に引かれているため、何にどれだけ支払っているかはあまり意識しないことが多くなります。フリーランスの場合は、自分自身で納める必要があるので、届いた請求書の金額を見てびっくり!なんてことも。
収入によっても支払う金額や税金の種類は変わってくるため、あらかじめ支払うべき税金の種類を把握して、いざというときに慌てることのないようにしておきたいですね。
会社員と違って税金に対する十分な知識が必要です
フリーランスの税金の納め方
税金の種類にもよりますが、基本的には確定申告で金額を算出してから納めていきます。会社員だと会社が行ってくれる確定申告や源泉徴収も、フリーランスでは自分自身で行う必要があります。毎年3月に確定申告を行い、それぞれの支払い期限に従って支払いますが、一括で支払うものも多いのである程度まとまったお金が必要になることも。計画的に資金を準備しておきたいところですね。
フリーランスの収入と所得の違い
フリーランスの税金を知るうえで、欠かせないのが「収入」と「所得」の違いについてです。まず、「収入」とは売上金額とイコールです。その「収入」からかかった経費を差し引いた額が「所得」となります。
資材の購入や、移動費や文房具など、仕事に不可欠な出費については確定申告の際に経費として計上することができます。どんな費用が経費になりうるのか事前に把握しておくことが重要です。また、きちんと領収書を保管しておく必要もありますので、確定申告の際に慌てないように整理しておきましょう。
事前の準備をしっかりとしておきましょう!
フリーランスが支払う税金の種類
フリーランスが納税するべき税金は次の4つです。
・所得税
・住民税
・事業税(売上が290万円を超える場合)
・消費税(前々年の売上が1,000万円を超える場合)
サラリーマンであれば所得税と住民税の2つですが、フリーランスになればそれに個人事業税と消費税が加わります。もちろんフリーランスの税金も収入により変化します。
売上によって納める税金が変わってくるので要注意!
1.所得税
所得税は、年間の所得金額に応じて課税されます。確定申告後、自動的に金額が決定します。毎年3月15日までに申告・支払いする必要があります。
2.住民税
住民税は、住んでいる都道府県と市区町村に支払う税金です。
所得金額に対して支払う「所得割」と、所得に関わらず定額でかかる「均等割」の2つで構成されています。毎年6月頃に確定し、年4回までの分割納付が可能です。
住民税と所得税では「基礎控除額」が異なるので、所得税がかからなくても、住民税が発生するケースもあるため、注意しておきましょう。
3.個人事業事業税(売上が290万円を超える場合)
個人事業税は、個人が事業を行なっていることに対して課税されます。事業主控除が年間一律290万円あるので、収入が290万円を超えた場合に税金が発生します。確定申告を出すと8月頃に納税通知書が届き、年2回の分割納付が可能です。
4.消費税(前々年の売上が1,000万円を超える場合)
消費税は、課税売上高が1,000万円を超える場合に納付義務が発生します。判断基準は前々年の課税売上が対象となり、毎年3月31日までに申告と納付が必要です。
たとえ赤字でも支払う必要のある税金のため、きちんと把握しておきましょう。
その他にかかるお金
1.固定資産税・自動車税
自宅や車を所有している場合には、「固定資産税」や「自動車税」がかかってきます。
別途申請の必要はなく、所有している人に対して、4月〜6月ごろに請求書が郵送されてきます。それぞれの期限を守って支払いましょう。
2.国民健康保険・国民年金
税金ではありませんが、「国民健康保険料」「国民年金」もフリーランスとしては、しっかりと把握しておきたい支払いです。「国民健康保険料」は一括もしくは分割が選べますが、大きな金額になることが多いので、こちらも予め計画的に準備しておきたいところです。
源泉徴収税とは
源泉徴収税とは、給与や報酬などの支払者が給与や報酬などを支払う際に、予め所得税などを差し引いて納めてくれる制度です。フリーランスでも、クライアントによっては事前に源泉徴収を行ってくれる場合があります。クライアントによって違いがありますので、重複して支払いをしないように、支払い内容を確認しておきましょう。
源泉徴収をして支払いをするところもあるので差し引かれた場合の対応については確認しておきましょう
経費にできる税金は4種類・できない税金は2種類
次に、税金は経費として計上できるのかという点について、説明をしておきたいと思います。税金は原則として経費計上できないことが基本になります。そのため、所得税や住民税は経費にすることはできません。
しかし、「仕事に関係があるもの」であれば、経費計上が可能になります。
個人事業税などの「事業活動そのものに課税される税金」、自動車税や固定資産税などの「事業で使用するものに課税される税金」は、経費として計上することが可能です。自動車税や固定資産税については、プライベートと兼用の場合には、家事按分した上で事業割合のみを経費として計上するようにしましょう。
・固定資産税
・個人事業税
・消費税
・自動車税
・所得税
・住民税
フリーランスが税金を払わないときのペナルティ
フリーランスが税務調査により脱税であると指摘されてしまうと、本来支払うべき税金に加えて追徴課税などのペナルティが課せられます。脱税の罰則は、大きく分けて3種類あります。
「忘れていた」など故意ではないと判断された場合
これは罰則としては小さく、過小申告加算税が課せられます。
本来支払うべき税額の5~10%が課せられます。
意図的に脱税したと判断された場合
これは重く、重加算税が課せられます。
本来支払うべき税額の40%が課せられます。
意図的な上に大きな額を脱税した場合
いうまでもなく最悪で、刑事罰が課せられ逮捕となります。このようにフリーランスが税金を払わなかった場合のペナルティは、金額的な影響が大きいです。
ペナルティーの対象にならないように心がけましょう!
まとめ
フリーランスの税金のポイントは下記の通りです。
・所得税、住民税は基本的に収入がある場合には発生
・個人事業税、消費税は収入の金額によって支払いが変動
・固定資産税・自動車税は事業で使用する車両や家があるかどうか
・国民健康保険・国民年金の支払いも忘れずに
国民健康保険や国民年金は、自分で加入する保険を選ぶことも可能ですので、支払いを抑えたい場合には最適なものを探してみることもおすすめです。
このようにフリーランスは税金や支払うお金について、自分自身で管理していく必要があります。いざ請求がきた時に、支払うお金がない!なんてことにならないように、あらかじめ支払うべき税金の種類や時期などを把握して、計画的に準備しておきましょう。