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節税にも効果的!フリーランスに必要な源泉徴収の知識について

年末近くや年明けになると話題になりはじめる源泉徴収ですが、

  • 源泉徴収についてあまり理解できていない。
  • 源泉徴収のしくみを知らないため税金を払いすぎているかもしれない。

そんな疑問や不安を抱えるフリーランスの方もいらっしゃることでしょう。

この記事では、フリーランスに関係する源泉徴収について、基本的な内容をわかりやすく解説していきます。

源泉徴収とは

源泉徴収とは、フリーランスへ報酬を支払う側(クライアント)が、あらかじめ報酬から所得税などの納める税金を差し引いて支払いを行う制度のこと。

差し引いた税金分は、支払う側がフリーランスの代わりに納税します。

会社員の時は会社が給与から源泉徴収をおこなってくれますが、フリーランスは自分で確定申告をおこなうので、しくみを理解しておく必要があります。

源泉徴収の対象となる報酬

Webライター・Webデザイナー・イラストレーター・エンジニアなど、会社に属せずフリーランスとして仕事をしている場合、受け取る報酬のうち、以下にあたるものは源泉徴収の対象になります。

  • 原稿料、講演料、デザインの報酬など
  • 弁護士、公認会計士、司法書士など、特定の資格をもつ人に支払う報酬や料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデル、外交員等(集金人又は電力量計の検針人)に支払う報酬・料金
  • 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビ出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  • ホステスやコンパニオンに支払う報酬・料金
  • 役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

参考:【国税庁】No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

上記の源泉徴収の対象となる報酬の中でも例外的に源泉徴収が必要ないものもあります。

また、クライアントが企業の場合は、業種に関係なく源泉徴収をおこなうケースが多いです。

源泉徴収額の計算方法

クライアントからフリーランスに報酬が支払われた際に支払調書をもらう場合があります。

そこに記載されている源泉徴収額が、どのように計算されているかご存じでしょうか?

源泉徴収額の税率には二段階あり、フリーランスの報酬額が100万円以下と100万円超で計算方法がかわります。

フリーランスの報酬から差し引かれる源泉徴収額を以下の表にまとめました。

報酬額 源泉徴収額
100万円以下の場合 支払われる報酬額×10.21%
100万円超の場合 (支払われる報酬額‐100万円)×20.42%

例:フリーランスが企業から仕事を受注して10万円の報酬の支払いを受けたとき

源泉徴収額=100,000円×10.21%→10,210円

実際の受取額=100,000円-10,210円→89,790円

源泉徴収票と支払調書について

源泉徴収に関連する帳票として『源泉徴収票』と『支払調書』があります。

どちらも金銭の支払いと適正な納税のために税務署への提出が義務付けされている『法定調書』

しかし両者には大きな違いがあるのです。

源泉徴収票とは

源泉徴収票は給与などの支払いをする側が、その支払額や源泉徴収した所得税額を明らかにするための法定調書。

源泉徴収票には『給与所得の源泉徴収票』『退職所得の源泉徴収票』『公的年金等の源泉徴収票』の3種類があり、現役世代の会社員に一般的に認知されているのが『給与所得の源泉徴収票』です。

給与を支払う側は同じものを二部作成し、ひとつは支払いを受けた者に交付し、もうひとつは税務署に提出する義務があります。

まれに「源泉徴収票をもらえない」という勤務先が存在しますが、その場合は税務署で『源泉徴収票不交付の届出手続』をおこないます。

そうすることで税務署から勤務先へ連絡が入り、交付する旨の指導がなされます。

年末調整を受けた会社員でも、医療費や住宅ローン控除の還付申告などをおこなう際に必要となります。大切に保管しておきましょう。

支払調書とは

支払調書も源泉徴収票と同じく支払額や税額を証明するための法定調書です。

こちらも支払う側は税務署への提出は法律で義務付けられていますが、受け取る側のために発行しなけらばならないという義務はありません。よって支払調書とは基本的に支払う側のご厚意でもらえるものなのです。

フリーランスとして仕事の対価として報酬を受け取ったときに、支払調書を発行してくれるクライアントと発行してくれないクライアントがいるのはそのためです。

源泉徴収票と支払調書の違い

以上のことから、源泉徴収票と支払調書の違いをまとめると

源泉徴収票=支払いが『給与所得・退職所得・公的年金』

支払調書=支払いが『報酬・料金・契約金』

となります。

副業としてフリーランスの活動をおこなっている人は間違いやすい傾向があるので、しっかりと理解しておいてください。

フリーランスに源泉徴収票は必要?

結論から言うと、専業フリーランスには源泉徴収票はありません。

その一方で、フリーランスの収入だけでは生活できず掛け持ちでアルバイトをしている場合や、副業でフリーランスの活動をしている人は、その勤務先から源泉徴収票をもらい、確定申告時に給与所得として申告する必要があります。

なぜなら、確定申告ではその人の1年間の所得のすべてを申告する必要があるからです。

専業フリーランスの場合は『支払調書』が会社員の源泉徴収票にあたります。

源泉徴収の手続きについて

源泉徴収の手続きは、報酬や料金を受け取る側と支払う側でかわってきます。

クライアントが企業の場合、フリーランスの報酬は源泉徴収されることが多いです。

その際になにかするべきことはあるのでしょうか?

まずは報酬を受け取る側から説明していきます。

報酬を受け取る側で源泉徴収されている場合

報酬や料金を受け取って源泉徴収されるにあたっては、特に必要な手続きはありません。

源泉徴収をされると、受注時に提示された報酬額と実際に入金された額が違うため、不安になる人も多いようです。

しかしそれこそが源泉徴収されている証し。提示された報酬額の10.21%を差し引いた額が振込みされているはずです。

支払調書があれば源泉徴収されているかどうかはすぐにわかりますので、あわてずに確認しましょう。

確定申告時に必要な手続きについては後述します。

報酬を受け取る側で源泉徴収されていない場合

クライアントが個人事業主や同じフリーランスの場合、源泉徴収されていないことがまれにあります。

しかし、源泉徴収をされていないからといって所得税を納めなくてもよいというわけではありません。

報酬を受け取ったときに源泉徴収されていなくても、場合によっては最終的に確定申告の時に所得税として納めることになるのです。

確定申告時の源泉徴収の手続き

報酬が源泉徴収されていたら、確定申告の時に「この分の所得税は払いましたよ」ということをきちんと報告しなければなりません。そうしないと二重で税金を納めることになってしまうからです。

具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 確定申告書Bを用意する。
  2. その年の源泉徴収票または支払調書をすべて手元に集める。
  3. 確定申告書Bの第二表『所得の内訳』の欄に、源泉徴収票または支払調書の内容を転記する。
  4. ③の合計金額を確定申告書B第一表の『源泉徴収税額』の欄に記入する。

特に手書きで確定申告書を作成する人は払い済みの源泉徴収を記入しがちなので気をつけましょう。

源泉徴収票や支払調書を紛失した場合

源泉徴収票を紛失した場合は、まず勤務先に相談して再発行をお願いしてみましょう。

支払調書を紛失した場合も報酬の支払先に相談をしますが、先にも書いたとおり、支払調書は本来支払う側のご厚意でくれるもの。

源泉徴収票や支払調書がどうしても必要な場合は、先方によくお詫びをしたうえで、再発行をお願いすることになります。

大切な書類は管理を徹底することを心がけましょう。

源泉徴収票の添付省略について

これまで源泉徴収票は確定申告時に添付して提出が義務付けられていました。

しかし平成31年度税制改正等において国税関係手続きの簡素化がはかられ、確定申告時に添付が必要だった各種書類の添付が不要となりました。

添付が不要になったとはいえ、納税の事実を証明する重要な帳票に変わりはないですから、きちんと保管しておいてくださいね。

フリーランスも報酬を支払ったら源泉徴収をする?

フリーランスとして仕事をしていくと、クラウドソーシング等を利用して仕事を外注することもあると思います。このとき支払うべきすべての報酬を源泉徴収しなければならないのでしょうか?

答えは『支払う本人が源泉徴収義務者かどうかで決まる』です。

源泉徴収義務者とは

源泉徴収義務者について、国税庁のHPでは以下のように定義されています。

会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことになっています。

参考:【国税庁】No.2502 源泉徴収義務者とは

要するに、フリーランスが人を雇って(雇用契約を結んで)給与を支払っているならば源泉徴収が必要であるし、外注先に支払う報酬も源泉徴収をしなければならないのです。

ただし、常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与を支払っている個人事業主(フリーランス)は源泉徴収義務者には該当しません。

フリーランスという働き方は人を雇わずひとりで仕事をするのが基本です。源泉徴収義務者になるかどうかは人を雇って給料を払うようになったら、と覚えておくとよいでしょう。

【まとめ】フリーランスは源泉徴収の知識を把握しておきましょう

源泉徴収と聞くと、その重い言葉の響きから苦手意識を持つフリーランスの方も多いかもしれません。

しかしフリーランスならば税金の知識は必須です。なぜなら、会社員の時と違い、納めすぎた税金は戻ってくるかもしれないからです。

源泉徴収のしくみを正しく理解して、節税できるように心がけましょう。

源泉徴収についてしっかり理解するためにも、本記事やフリーランス向けの他の記事をぜひ参考にしてくださいね!

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このサイトを運営しているフリスタです。 フリーランスになった10年目の現役フリーランスです。 東京都内でフリーランスをしつつ、2つのメディアを運営しています。
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