ビジネスメールでは、メールの最後に署名を入れるのがマナーです。しかし、フリーランスは会社員とは異なり、所属や役職がありません。そのため、署名にどのような内容を入れればよいか、迷っているフリーランスの人もいるのではないでしょうか。
この記事ではフリーランスの人に向けて、メール署名に記載する内容の注意点と、書き方のポイントを解説します。
フリーランスもメールに署名は必要?
「個人で働くフリーランスなら、所属部署も役職もないので、署名は要らないのではないか?」
そのように考える人もいるでしょう。しかしフリーランスであっても、メールの最後に署名を入れるべきだと思います。
署名は誰が送付したのかを記す、大切な情報。手紙なら差出人の住所氏名、対面なら自己紹介や名刺のようなものです。自分が何者で、連絡先はどこなのかを相手に伝えるのは、ビジネスマナーとして当然のルールではないでしょうか。フリーランスでも、例外ではありません。
一緒に仕事をするうえで相手の信頼を得て、失礼に思われないよう、きちんとした署名をメールに入れておきましょう。署名の活用次第では、他者と差をつけるポイントにもなります。
メールでは住所・電話番号の取扱に注意
会社員の人がビジネスで使うメールの署名なら、所属会社名の所在地や、自席の固定電話番号などを記載するでしょう。フリーランスで事業所を構えているならば、その住所や電話番号が、会社情報に変わる情報として記載できます。
しかし自宅を事業所としているなら、住所や電話番号の取り扱いには注意が必要です。一人暮らしをしているなら防犯意識として、同居家族がいるなら家族への配慮として、住所・電話番号は取り除いた署名を使うほうが良いでしょう。
1度限りのやり取りや、取引歴が浅く信頼関係を築けていない相手には、安易に教えないほうが無難です。住所を教えるのは、契約書や請求書などの書類を郵送で取り交わす必要が出てきてからでも、問題ありません。
自宅以外の住所を使う方法
もし住所情報がないと信頼されないのではないかと不安な場合は、事業所を構える他に、バーチャルオフィスを使うという手もあります。
バーチャルオフィスは、開業や登記に必要な住所の貸し出しや、郵便物の受け取りをしてくれるサービスです。中には届いた郵便物の転送、電話受付の代行をしてくれるところもあります。事業所としてテナント事務所やレンタルオフィスを借りるよりは、月額費用を抑えられるでしょう。
ただしバーチャルオフィスの住所にも注意点があります。治安が悪い地域や、風俗街として知られる場所は、自身のイメージダウンになりかねません。また自宅から離れた住所では、バーチャルオフィスに届いた郵便物の確認に手間取ります。転送サービスがあっても届くまでに時間がかかり、トラブルにつながる恐れもあります。
信頼できて利便性の高い住所ほど費用が高い傾向にあるので、活動拠点から遠くなく、納得できる金額なら利用を検討しても良いでしょう。
フリーランスのメール署名の書き方
それではフリーランスの人がメールに署名を入れる場合、どのような書き方をすれば良いのでしょうか。
一般的な署名では
- 会社名
- 所在地住所
- 所属部署・役職
- 氏名
- 電話・FAX番号
- メールアドレス
といった順序で記載されています。フリーランスに置き換えると
- 屋号(あれば)
- 氏名
- 連絡先(メールアドレス、SNS、チャットツールなど)
- Webサイトやブログ
といった内容になるしょう。それでは各項目について詳しく解説します。
会社名に代わる屋号があれば書いておく
フリーランスの人は個人名で活動していることも多く、会社名に変わる屋号がない場合もあります。その場合メールの署名部分に、屋号を入れる必要はありません。
もし屋号があるなら、メール内に入れておきましょう。また難読漢字や外国語表記による屋号は、括弧書きでよみがなも添えておくと親切です。読み方がわからないと、相手に覚えてもらえず、印象に残らないの注意しましょう。
メールの署名内容は読み方も含めて、分かりやすくしておきましょう。
名前は本名のほかペンネームなどでもOK
フリーライターやイラストレーターの人など、本名とは別に活動名義となる名前を使っているなら、署名の氏名欄にその名前を入れても構いません。
本名が珍しい苗字・名前で読みにくい、逆に平凡過ぎて印象に残らない、フリーランスとしての活動時は違う名前を使いたいなど、ペンネームを使う理由は様々です。
しかし本名の代わりに使う名前は、何でも良いわけではありません。これからフリーランスとして活動する際の名称を考えているなら、下記のような名前は避けましょう。
- 不謹慎・不快な印象を与えるもの
- 著名人と誤解させるもの
- 個人の名前らしくないもの
明らかにイメージの良くない漢字・単語を使った名前は、おすすめできません。これから取引を行う相手が、不謹慎な名称や不快なイメージの名前では信頼性に欠けます。同姓同名の著名人と誤解させるような名前も、不信感を与える原因です。きちんとした印象を与える名前を使いましょう。
そういった名称が特になく、本名で活動しても問題ないなら、ペンネームを使う必要はありません。一般の社会人と常用に、メールの署名には本名を入れます。
住所・電話番号は省略可能
住所・電話番号はフリーランスの場合、メールに記載しなくても構いません。前述のように防犯や同居家族への配慮として、住所・電話番号のない署名が使われているケースはあります。
代替手段として、仕事用のメールアドレスやSNS、チャットツールのIDをしっかり記入しておきます。自宅とは別に事務所や事業所があるなら、その住所・電話番号を入れると良いでしょう。
電話番号はプライベートの携帯電話と別に、仕事用の携帯電話を用意するのも一手です。SIMフリーの携帯プランなら、月額数千円で利用可能。打ち合わせで仕事相手と会う場合や、緊急連絡先として電話番号が必要なら、仕事用に用意しておくと良いでしょう。
送信相手によって、署名の記載内容が違うものを使い分ける方法もあります。
メールアドレスのほかSNSやチャットツールのIDも記載
普段利用しているSNSやチャットツールがあれば、そのIDも署名に入れましょう。
SNSやチャットツールは、メールよりも素早く、手軽に連絡が取れます。グループを作って情報共有もしやすく、一般企業でも連絡ツールとして採用されています。連絡手段の選択肢は多いほうが、相手にも親切です。
ただしSNSのIDを伝えると、相手に普段どのような発言・投稿をしているかを見られてしまいます。
SNSへの投稿内容は、自分の考えや普段の行動をアピールできると同時に、人柄が現れる部分です。メールにSNS情報を記載するなら、投稿内容が他者に見られて問題ないものか確認しましょう。誤解を与えたり、攻撃的な発言が目立ったりするような、極端な投稿のSNSでは悪い印象を持たれかねません。
メールの署名に記載するSNSは、普段から投稿内容に注意し、必要なら仕事用とプライベート用でアカウントを分けましょう。
Webサイトやブログ、ポートフォリオへのリンク
運営しているWebサイトやブログ、活動履歴のわかるポートフォリオサイトがあれば、そのリンクも署名に入れておきたいところです。文章のやり取りだけでは伝わらない、アピール材料となるでしょう。
サイトへのリンクを署名に入れる場合は、リンク先の内容を吟味します。リンク先が下記のようなものであった場合、相手はどのような印象を持つでしょうか。
- リンクが切れている
- 記事投稿のないブログ
- 仕事との関連性が不明な趣味のサイト
- 長期間更新されず情報が古いサイト
リンク先がこのような状態では、アピール材料になりません。管理が甘く、必要な情報を提示できない人物として、逆に悪い印象を与える原因になります。
仕事内容を署名内に書き添えてPR
メールでは署名冒頭に、会社のキャッチコピーや、新商品情報の一文を入れているものもあります。フリーランスも仕事内容やジャンルについて一言あると、印象に残る署名が作れます。
一口にフリーランスといっても、対応できる業務内容は様々。得意分野や専門性のアピール、対応可能な地域情報を入れておくと、他者との差別化を図れます。自身のブランディングとして、ぜひ署名内にPR文を入れてみましょう。
署名を区切る罫線・記号の表示に注意
メール末尾に署名を入れる場合、本文との区切りに罫線や記号を並べてたものを使います。区切りを分かりやすくするために必要ですが、レイアウト崩れや文字化けには注意しましょう。
署名部分で印象づけるため、装飾性のあるデザインを入れて目立たせるのも一案ですが、レイアウトが崩れてしまっては台無しです。
メールのやりとりでは、相手とOSが異なる場合あります。OSやバージョンが違うと、正確に表示されない特殊記号の使用は、文字化けの原因です。文字化けによってメール本文も読めなくなると、相手に迷惑をかけるでしょう。
メールの署名部分に使う装飾はレイアウト崩れに注意し、機種依存文字は使わず、どの環境でも適切に表示されるものを作りましょう
また区切り部分と署名の間には、適度な余白も必要です。区切り部分の上下には1行分の改行を入れ、間隔が詰まりすぎない署名にします。
署名のレイアウト崩れや文字化けが不安なら、最初のうちはデザインに凝ろうとせず、シンプルな罫線を並べたものにしておくと安心です。
署名内容はこまめにアップデート
会社員の人で異動や役職変更、事業所の移転があった場合、署名の内容も修正する必要があります。
フリーランスでも、事業所の新設・移転、アドレスの変更、サイトの移転、業務内容の変化などがあるでしょう。その場合、会社員と同様に署名内容の編集が必要です。
- 署名部分の住所を見て挨拶状を送ったのに宛先不明で差し戻し
- 仕事の連絡をしようと署名内のメールアドレスに連絡したら不達エラー
- 署名に記載されたWebサイトへアクセスしたらページが表示されない
こういった事が起きてしまうと、相手に余計な手間を取らせ、マイナス印象になってしまいます。
メールソフトの設定で署名を自動挿入していると、見落としやすいポイントです。変化があれば見直す癖をつけ、署名内容は必ず最新の情報と一致させましょう。
フリーランスの署名テンプレート
署名として利用できそうなテンプレートをいくつか作成したので、自分用にアレンジして使ってみてください。
シンプルな署名テンプレート
こちらが、インプルでベーシックなテンプレートです。情報をわかりやすく伝えることを意識しています。
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フリーランス 太郎
TEL: 090-0000-0000
Email: freelance.taro@xxxxx.com
チャットワークID:freelance0101
Twitter:@freelance0101
URL: http://freelance.com/portfolio
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少し可愛く見せたい方向けのテンプレートはこちら。一言コメントなど、相手に覚えてもらえそうな情報を追加するものいいですね。
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フリーランス 優子
TEL: 090-0000-0000
Email: freelance.yuko@xxxxx.com
チャットワークID:freelance0905
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少し可愛く見せたい方向けのテンプレートはこちら。一言コメントなど、相手に覚えてもらえそうな情報を追加するものいいですね。
伝えたいこと入りの署名テンプレート
署名の欄を、制作物の告知などにあてることで有効活用したテンプレートも紹介します。
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フリーランス 太郎
TEL: 090-0000-0000
Email: freelance.taro@xxxxx.com
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7/14に、公開される「○○○」のデザインを担当しました。
詳細は、こちらをご参照ください。
http://xxxxxxx.co.jp/xxxxxxx/index.html
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自分のスキルをさりげなく伝えるのもテクニックですね。
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フリーランス 優子
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フリーランスもメール署名は重要!書き方を工夫して印象付けよう
会社に所属しないフリーランスであっても、ビジネス上のメールでは署名が不可欠。仕事をする上での礼儀として、印象づけるポイントとして、メールの署名も適切なものを使いましょう。
フリーランスなら
- 屋号(あれば)
- 氏名
- 連絡先(メールアドレス、SNS、チャットツールなど)
- Webサイトやブログ
という順序で記すと良いでしょう。他との差別化を図るため、活動内容や得意ジャンルについて署名内に一文入れるのも有効です。
また署名を入れる際、メール本文との区切りとして罫線や記号を使います。このときレイアウト崩れや、文字化けの原因となる機種依存文字に注意。不安ならシンプルな罫線による区切りが無難です。
署名に記載している内容に変更があれば速やかに修正し、常に最新の情報を記入しましょう。
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