現在データサイエンティストとして企業で勤めている方の中には、独立したいと考える方もいらっしゃるでしょう。しかしフリーになるとどれだけ稼げるのか、どのような案件を受注できるのかわからず、独立に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスのデータサイエンティストの平均年収や、受注できる案件についてお伝えします。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストとは、膨大な量に及ぶ複雑な「ビッグデータ」を活用して、ビジネスにおける課題を解決する職業です。データサイエンティストの具体的な仕事内容は、以下の3つです。
課題把握・仮説立案
まずクライアントが抱えるビジネス上の問題点を抽出し、課題を把握します。この工程は、データ分析をおこなう目的を明らかにし、企業に蓄積されたデータを適切に活用するために必要です。
課題を把握できたら、目的を達成するためにどのようなデータや手法、施策が必要になるか、具体的な仮説を立てていきます。データ分析だけでなく、経営状況のヒアリングやデータの精査等も、データサイエンティストの大切な仕事です。
データ取得・分析
仮説検証のために、データの取得や分析、加工を行います。企業内のデータを取得する際には、データのフォーマットを考慮し、効率よく集められる環境を構築しなければなりません。
社内システムへアクセスできるAPIを組み込んだプログラムを作成したり、HadoopやMySQLを用いてデータベースを構築したりします。必要に応じて、データの前処理やクレンジングも担当します。
戦略提案・実行
データの取得および分析がすんだら、仮説を検証したうえでKPI等の指標を用いて具体的な戦略を提案し、レポートにまとめます。データサイエンティストには、分析結果や課題の解決方法をわかりやすく説明する、プレゼンテーション力も必要です。
戦略が実行されたら、仮説の検証を繰り返し、より良い施策や解決方法を考案します。一度の施策実行で課題が解決されることはほとんどないため、仮説検証を繰り返し、課題解決へのスピードを早めることが大切です。
フリーランスのデータサイエンティストの平均単価・年収
フリーランスのデータサイエンティストが、どれだけ稼げるのか気になるという方もいらっしゃるでしょう。以下の表は、データサイエンティスト向け案件を掲載している3つのサイトにおける平均単価等の情報を検索し、まとめたものです。
サイト名 | 平均単価 | 最高単価 | 最低単価 |
レバテックフリーランス | 94.6万円 | 145万円 | 40万円 |
テクフリ | 84.9万円 | 121万円 | 38.5万円 |
フリーランススタート | 90.6万円 | 200万円 | 20万円 |
(2021年8月11日時点)
検索した結果、平均単価は約85~95万円、想定年収は約1,000万円に及ぶことがわかりました。一般的なフリーランスエンジニアの平均年収は約800万円(参考:フリーランススタート)といわれており、データサイエンティストは他のWeb系およびエンジニア系の職種よりも高収入が期待できます。
会社員のデータサイエンティストの平均年収
正社員として企業で働くデータサイエンティストの平均年収は、697万円です(参考:求人ボックス)。
出典:求人ボックス
上記のとおり日本人の平均年収である436万円(参考:国税庁「令和元年分民間給与実態統計調査」)を超えてはいますが、フリーランスの平均年収より低い数字となっています。データサイエンティストは、独立することで収入アップが見込めるといってよいでしょう。
データサイエンティストの案件情報
フリーランスのデータサイエンティストは、どのような案件を受注できるのでしょうか。データサイエンティスト向け案件を掲載している3つのサイトで案件情報について検索し、以下にまとめました。まずは案件数からみていきましょう。
レバテックフリーランス | 251件 |
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テクフリ | 131件 |
フリーランススタート | 785件 |
(2021年8月11日時点)
プログラミング言語はPythonがメインで、ほかにR言語・C++・Java・JavaScript・PHP・Ruby等の言語が人気で、需要が高い傾向にあります。週3日~5日程度の常駐を求める条件の案件もありますがリモート可能な案件が多く、場所や時間を問わない柔軟な働き方を自由に選択できます。データサイエンティスト向けの求人も増加してきており、募集されている業種・業界も様々です。
以下は、受注可能な案件の一覧です。
案件名 | 運輸会社向け統合データ分析 |
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単価 | 80万円/月 |
仕事内容 | 分析チームにおける統合データ可視化・分析、データ分析計画および施策検討 ・多様な部門のデータサイエンス業務の支援 ・データ分析計画に即した分析の実施・仮説立案 ・データ分析結果の集計・可視化作業 |
開発環境 | Python Microsoft Azure |
求めるスキル | ・データ分析/抽出の経験・知見 ・データサイエンティストとしての事業折衝を伴う分析実務経験1年以上 ・運輸業界での実務経験もしくはビジネスの実務経験 |
(出典:レバテックフリーランス)
案件名 | 【データエンジニア】分析基盤運用並びにデータ加工 |
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単価 | 72万円/月 |
仕事内容 | 分析基盤運用、データ加工 データ加工用のPythonコードおよびSQLの修正 データベースのカラム追加等 |
開発環境 | Python SQL AWS |
基本スキル | ・GCP、AWS上にデータ利活用に関するソフトウェアの開発、運用、保守の経験 ・SQL, pythonの開発/運用経験 |
尚可スキル | ・apache beamもしくはcloud dataflowの利用経験 ・機械学習モデルの開発、運用の経験 ・チームの開発工程の定義や改善した経験 ・dockerを利用したアプリケーションの開発/運用 |
(出典:テクフリ)
案件名 | Python/店舗解析SaaSのビッグデータ基盤の設計開発【Python/R】PR分析サービスのデータアナリスト |
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単価 | 80~100万円/月 |
仕事内容 | 店舗解析SaaSのビッグデータ基盤の設計開発 ・データ構造設計 ・アーキテクチャ設計 ・インフラ構築 ・分析ロジック実装 ・開発環境の構築 |
開発環境 | Python Google Cloud Platform(GCP) AWS Scala |
必須スキル | ・データ分析基盤の設計、開発、運用経験:3年以上 ・データサイエンティストと協働して、データ分析基盤の設計、開発をした経験 ・アーキテクチャ設計経験 ・AWSもしくはGCPのクラウド開発経験 |
尚可スキル | ・Cloud DataflowやCloudComposerをProdで利用した経験 ・Scio x Scalaでデータ処理パイプラインを記述した経験 ・Python x データ分析フレームワークを用いたデータ分析ロジックの構築経験 ・日常会話レベルの英語力 |
(出典:フリーランススタート)
データサイエンティストになるには
ここからは、未経験からデータサイエンティストになるための方法をご紹介します。以下の3つの方法を実践し、豊富な知識やスキルを身につけましょう。
実務経験を積む
データサイエンティストとして専門性が高く、幅広いスキルを身につけたいのであれば、正社員として企業に就職して実務経験を積むのがよいでしょう。実際の業務を通してスキルを身につけられますし、フィードバックを受けられるので効率よく知識を吸収できます。現場での実績があった方が独立した際に仕事を獲得しやすいので、少しずつ着実に経験を積んでいきましょう。
書籍や動画を使って独学で学ぶ
独学でデータサイエンティストを目指すなら、書籍や動画で学ぶのがおすすめです。データサイエンティストに必要な知識やスキルについての書籍は数多く存在しますが、まず初心者向けのものを読むとよいでしょう。以下の3冊は、「一般社団法人データサイエンティスト協会」で推薦されている書籍です。
・Rによるデータサイエンス-データ解析の基礎から最新手法まで(森北出版)
・本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本(北大路書房)
・データサイエンティスト養成読本(技術評論社)
また動画で学習を進めるのであれば、データサイエンティスト向けの学習サイトを利用しましょう。おすすめの学習サイトは、以下の3つです。
動画であれば空き時間に勉強できますし、学習サイトには必要な知識やスキルが網羅されているので、効率よく学習を進められます。
プログラミングスクールで学ぶ
費用に余裕があるなら、プログラミングスクールを利用するのがおすすめです。スクールの活用には講師に直接教えてもらうことで、わからないことをすぐ質問できる、モチベーションを維持しやすくなる等のメリットがあるので、独学よりも学習を進めやすくなるでしょう。またスクールでは、就職・転職の相談にのってもらえることも多いです。おすすめのプログラミングスクールは、以下の3つです。
データサイエンティストの将来性
近年におけるAIの進化は著しく、将来的にデータサイエンティストの仕事をAIに奪われるという声もあがっていますが、そうとは限りません。
例えばAIが収集したデータの分類は人がおこなう必要がありますし、高度なモデル作成や新たな理論の考案等はAIの苦手分野です。このようにAIにもできないこと、苦手なことがあるので、データサイエンティストとしての役割が失われることはないでしょう。
ただしスキルが低いと優秀な人材に仕事をとられてしまう可能性があるので、今後も勉強を続けスキルを磨くことが大切です。
データサイエンティストの案件獲得方法
まとめ
今回は、フリーランスのデータサイエンティストの平均年収や案件情報についてお伝えしました。データサイエンティストが独立すると平均年収アップが見込めますし、様々な業種・業界で活躍できることがわかりました。
しかしフリーランスのデータサイエンティストとして安定的に仕事を任せてもらうためには、会社員時代よりも高度なスキルが求められます。今後も新しい技術を学び、相応の価値を提供できるように、スキルの向上を怠らないようにしましょう。今回の情報を参考に、フリーランスのデータサイエンティストを目指してみてください。
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